
大学の学びの集大成といわれる「卒業論文」。「難しそう…」「大変そう…」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。しかし、卒論を経験した人からは、「挑戦して良かった!」という声を聞きます。さて、チャレンジした人を熱くさせる卒論には、どのような面白さがあるのでしょう?




「これだけは誰にも負けない」
というものを残したい。
この思いから、「卒論」に挑戦!
というものを残したい。
この思いから、「卒論」に挑戦!


この研究で面白いと感じたのは、「入浴」と「清潔」の関係です。私たちが入浴する目的といえば、多くの人が「清潔」になるためと答えるでしょう。しかし、中世ヨーロッパの人たちは、水に触れることを恐れて入浴することを避けていました。その理由は、当時、大流行した伝染病の「ペスト」にあります。入浴によって毛穴が開き、そこからペスト菌が入り込むと考えていたのです。そこで、中世ヨーロッパの人たちは下着を何度も着替えることで清潔を保っていました。そのことから「入浴」の価値は限りなく低いものとなったのです。
こうした歴史の事実は、自ら調べることで初めて得られる情報です。自分の関心に従ってどこまでも深掘りできるのが、卒論ならではの面白さ。講義では得られないものだと思います。
実際、卒論はかなりの量の文献を読まなければならず、最初の頃は苦労しました。しかし、少しずつ内容を理解できるようになると、“分かる楽しさ”を実感。今は「入浴の歴史」の知識は誰にも負けない自信があります。
私にとって、「卒論」は大学で学んだ証。20年後、30年後、「あの時、頑張って書いて良かった」と必ず思えるはずです。そう思えるように納得のいく卒論を完成させます!




私のアイデアは、社会にとって価値あるものか。
本気でビジネスを考える面白さを体感!
本気でビジネスを考える面白さを体感!


まず、精神疾患患者に関する文献を読んでいくと、いくつかの課題があることが分かりました。その一つが、日本では精神疾患の治療が病院で行われるため、日常生活への復帰はもちろん、社会復帰までに長い時間を要するということでした。
この課題を解決するにはどうすれば良いか。私が考えた改善策が、生活と治療を分けるのではなく、患者の日常生活を支えながら治療とリハビリ、社会復帰をまとめてサポートできる「コンセプト型賃貸住宅」を作ることでした。この策のメリットは、医療面では患者の孤立を防ぎ、患者同士のコミュニティを形成することで早期社会復帰と精神疾患の再発予防に貢献できること。そして、不動産面では空き家を活用できることです。
しかし、このサービスを支える介護職員などの人員確保をはじめとした支援体制、精神疾患患者が社会復帰するまでの金銭的な補助などの課題もあります。こうした課題を克服し、費用対効果のあるビジネスプランを完成させることが卒論の最終的な目標です。




研究を通して、私だけの正解を導き出す。
この達成感こそ、卒論の醍醐味です。
この達成感こそ、卒論の醍醐味です。


この研究で私が着目しているのが、登場人物の心情です。個人それぞれが持つ「個のアイデンティティ」と、宗派に属することによって芽生えた「所属のアイデンティティ」。この2つのアイデンティティに分けて人物を考察しています。その中で気付いたのは、「個のアイデンティティ」には時代や国を超えて共感できる“普遍性”があり、「所属のアイデンティティ」にはアイルランド特有の“特殊性”があることです。さらに、「普遍性(個のアイデンティティ)」よりも、「特殊性(所属のアイデンティティ)」が優位にあることが北アイルランドや世界各国の対立を生んでいるのではないかと考えました。
この考察から、多様な個によって特殊性(所属のアイデンティティ)を超えた新たなアイデンティティを共有することができれば、宗派の違いによる「対立」の構図を「融和」に変えていけるのではないだろうかという結論を導き出しました。こうした「私の正解」を導くことができた達成感は、卒論の醍醐味だと思います。
完成まであと少し。これまでの学生生活で培ってきた書く力を生かし、「最高の完成度」と言える卒論を目指します!



自分の好きなことに好きなだけ没頭できるのは、卒論でしかできないこと。
卒論の思い出といえば、ゼミ仲間と励まし合ったことです。お互いの研究テーマに興味を持ち、中間発表の後には、「ここが良かった」と評価し合うことでモチベーションを高めていました。
一方、大変だったことは、情報収集です。大学の図書館と福岡市立図書館を往復する毎日。それでも分からない情報があった時は、ミュシャの作品を取り扱うアートギャラリーに問い合わせることもありました。論文がうまくまとまらず、「終わらないかも…」と焦ったこともありました。
そんな苦労もありましたが、卒論を書き上げた時は大きな達成感に満たされたことを今でも覚えています。
また、働き始めると、自分の好きなものをとことん掘り下げて調べる機会はそうありません。加えて、学内には書籍が充実した図書館があり、知識が豊富な先生方ばかり。こんな恵まれた環境にいながら、卒論を書かないのはもったいない!学生時代にしか経験できないことなので、ぜひ挑戦してみてください。


将来、挑戦して良かったと心から思える。その価値が卒論にはあります。
その研究テーマは、「ワイヤレスイヤホンにおける使いやすい操作ボタンの検討」です。ワイヤレスイヤホンはデザインをシンプルにするため、少ないボタン数で多くの機能が利用できるようになっています。しかし、このシンプルさが操作エラーを招いているのではと考え、使いやすい操作ボタンとはどのようなものかを実験によって検討する研究を行いました。それまで授業やゼミでグループでの研究経験はありましたが、自分一人で研究を進めるのは初めてでした。研究計画の立案から実験の実施、論文としてまとめるところまで、全てを一人で進めていかなければならず、全ての決定権が私にあります。この“一人で決める”という経験によって、主体的に考え、行動する大切さを実感しました。また、研究を一人でやりきったことが大きな自信になり、大学院に進学する後押しになりました。
しかし、卒論を経験して分かったことは、試行錯誤するのは楽しいということ。そして、自覚はないかもしれませんが、3年間の学びの中で卒論に挑戦する力は鍛えられているということです。
もちろん、楽ではありませんが、学生生活を振り返った時に「卒論、楽しかったな」と必ず思える経験であり、それくらい卒論は挑戦する価値があるものだと、私は思っています。ぜひ、思い切って挑戦してみてください!



1〜3年生にとって卒論は未知の世界。そこで、1〜3年生の卒論への素朴な疑問を4年生がお答えします!

