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2019.01.24

久屋孝夫教授(文学部)の最終講義を行いました

 1月17日(木)、図書館1階多目的ホールにて、本年3月で退職を迎える文学部外国語学科英語専攻の久屋孝夫教授の最終講義(大学院「英語学演習」)を行い、ゼミ生や大学院生をはじめ、教職員や卒業生など約35人が出席しました。



 久屋孝夫教授は歴史社会言語学が専門で、英語語彙の歴史に視る自民族中心主義、人間の認知システムと言語における人間中心主義、言語とアイデンティティ、性差別、ナショナリズムの言語化などについて研究されてきました。また、福岡市西市民センター運営審議会委員長、福岡市人権問題啓発講師、RKB番組審議委員などを務め、学内外で活躍されました。

 伊藤彰浩文学部長による心温まる紹介を受けて、「かはりゆくこと(ば)にこころうばはれ CHAUCERからJOHNSONへ」と題された最終講義では、第一部、冒頭25分は大学院で行われている演習が再現されました。久屋教授は、2名の大学院生と共に、約600年前に書かれたGeoffrey ChaucerのThe Canterbury Talesの中の1話 (Miller’s Tale)を読み合いました。この作品は、14世紀(日本の室町時代の初め)の英語(中英語と呼ぶ)で書かれているため、最初に原文の発音で読んだ後、現在英語に翻訳し、さらに日本語訳を付け加えました。
 久屋教授は、中英語bisynesseが<忙しさ>という原義から、<多忙を生み出す源>を経て<儲かる仕事、商売>という現代的意味に変化したり、<頭韻>しか持たなかった英語が伊仏詩型の<脚韻>を摂り込むことで新たな表現を獲得したりしていく様相を、チョーサー作品の文脈に即して紹介しました。

 次に、第二部では「ことばのうつろひにこころをどらせて」と題し、久屋教授の半生を振り返りました。千鳥城の見える水郷松江での学部時代に、マーロー研究の安藤貞雄先生に出会い歴史的研究に目覚め、聖書の通時的語法変化の諸相を卒論に選んだこと、大学院は原爆の受難を克服した平和都市、赤ヘルとお好み焼きの広島の、陽のほとんど当らない四畳半の部屋で、OED(オックスフォード英語大辞典)を引き、小さな文字の解読で目を悪くしながら、チョーサーを一語一語調べ上げ発表に臨むも、中世文学の碩学桝井迪夫先生にそれでも準備不足と指弾され泣かされながら、テクストを読み続け、修論でシェイクスピア以前の世俗喜劇の言語分析を行ったことにふれました。
 縁あって元寇防塁が横切る本学に赴任し、直後から約十年ほどは、主に16世紀中葉の作者不明戯曲のコンピュータ利用による脚韻語の類似度分析による作者推定(authorship)研究やその基礎データとしてのコンコーダンス作成に携わり、次の十五年ほどは差別のディスコース分析、民族差別、性差別の言語化の過程、そして、その後のジョンソンへの関心に至る推移を、時に私的な話題を、時にユーモアを交えながら回顧しました。

 第三部では、最近十五年ほどの関心事、ナショナリズムの語彙化に関する三か国の比較(ニュージーランド・英・米)研究、さらに人物に焦点化した研究、辞書編集者Webster、Johnsonの生涯と業績の役割を取り上げました。特に1755年独力で大部のイギリス英語辞典を完成させたSamuel Johnsonの生涯を辿りながら、時代が彼に要請した役割(言語の番人)と本人の意図(言葉の収集家・観察者)のギャップにふれる解説を行いました。惜しいことに時間が足りませんでした。

 最後に、久屋教授は、西南学院のオマージュとして「磯馴松(そなれまつ)育む浜に立つ君は 崎守(さきもり)踏みし地の塩とならむ」と歌を詠み、42年間に絆を育んだ学生・教職員に対し、感謝の言葉を述べました。
 講義終了後、文学部長、大学院生、卒業生から花束贈呈が行われ、聴講した学生・教職員、卒業生から大きな拍手が贈られました。



※最終講義に参加した学生・卒業生・教職員と共に

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