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2017.07.06

「『となりのトトロ』を読む」 ―小野俊太郎さん特別講義― を開催します

各位

 「『となりのトトロ』を読む」 ―小野俊太郎さん特別講義― を開催します。
 みなさん、ぜひご参加ください。

 日時:8月24日(木)14時開始 17時30分ごろ終了予定
 場所:西南学院大学 2号館2階203教室
 主催:西南学院大学 マスメディア実践論、 「ことばの力」養成講座
 対象:学生、一般市民  入場料無料、事前申し込み不要

 誰もが名前くらいは知っていて、もはや「古典」と呼べるこの豊饒な作品を、ただ漫然と観ているだけでは損です。宮崎アニメの魅力は動きのすばらしさにあるのですが、ここではあえて動きを止めて意味合いを考えます。さまざまな問いを投げかけながら作品を「読んで」いくと、思わぬ風景がそこに広がっていることがわかります。
 今回は『となりのトトロ』の魅力を探るために、3つのポイントに絞ってみました。

 まず、郊外への引っ越しで始まるこの物語のあちこちに、見えない境界線がたくさん引かれていることがわかります。そこに注目すると、登場人物たちの間にも、「よそ者と土地の者」や「本家と分家」といった立場の違いが浮かび上がってきます。

 次に、至る所に見られる「ゴミ」が、この緑の世界が循環型社会などではないことを教えてくれます。里山として、どこかユートピアに見える松郷なのですが、すでに消費社会が入り込んでいて、トトロたちのような過去の存在は忘却されつつあります。

 最後に、健康を回復するための「病院」と大人になるための訓練をする「学校」が、サツキとメイの家から離れた場所に置かれていることで、この世界が幼い思い出のまま守られように見えるのです。その時「塚森」が隣にあることの意味がわかってきます。

 こうしたポイントを胸に仕舞ってもう一度『となりのトトロ』を観ると、面白さが倍増するのではないかと思っています。幼いころとは違った視点で作品の魅力を感じるようになることが目標です。

◆講師:小野 俊太郎(おの しゅんたろう)
文芸評論家。1959年北海道札幌市生まれ。東京都立大学卒業。成城大学大学院英文科博士後期課程単位取得退学。成蹊大学など非常勤講師。映画、ジェンダー論など多くの著作がある。 現代社会における人文学(ヒューマニティーズ)的想像力の重要性を、著書などを通じて論考している。

◆テキスト:小野俊太郎『「里山」を宮崎駿で読み直す: 森と人は共生できるのか』(春秋社、2016年)
 里山は日本人の「原風景」か、それとも現代人が夢見る「幻風景」か――。
 今、地方創生の鍵語としてももてはやされ、のどかで自然豊かな理想郷として捉えられる里山は、本当に日本を救済するのか。『となりのトトロ』など、宮崎駿作品をひもとき、里山を、人と自然が交わる境界として、また文明のゴミが侵入する場、エネルギー消費の場としても捉え直したときに、その本質が見えてくる。自然回帰やノスタルジーにとどまらない里山の現代的意義を問い直す。
 人の営みと不可分のゴミやエネルギー問題を抜きに持続可能な社会は語れない。『となりのトトロ』など宮崎駿作品をひもとき、自然賛歌やノスタルジーにとどまらない里山の現代的意義を問い直す。里山神話の虚構を暴く。

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