2018.05.14

中村太地氏講演会が開催されました。

 5月14日、本学チャペルにおいて新入生歓迎講演が開催されました。講師には将棋棋士である中村太地氏をお招きし、『将棋で学ぶ法的思考』をテーマにご講演いただきました。普段はなかなか知ることが出来ない将棋界の話を聞くことができ、大変有意義な時間になったと思います。

 はじめに、将棋と法学の共通点として、中村先生は「論理的思考」を挙げられました。法学においては、論じる際に、まずその事例が正しいか間違っているかを大まかに判断した後、どの条文を適用すべきか考える作業をしますが、将棋を指す際にもこのような論理的思考をすることが基本だそうです。また、将棋で特に重要なのが「大局観」という判断能力であるとお話しされました。「大局観」とは、選んだ選択肢が正しいのかどうか判断できる感覚のことで、長年の経験によって養われるものだそうです。どの条文を選択して答えを導くべきなのか経験に基づいて正確に判断し論じていく法学と、このような点においても通ずる部分があるのだと分かりました。

 また、中村先生は将棋とAIとの関りについても言及されました。冒頭で「将棋は文化である」と言われていましたが、伝統的なものでありながらもAIの目まぐるしい発展とともに戦法やスタイルが変化していく将棋はとても興味深く、やはり日本の「文化」であると感じました。

 最後に、特に印象的だったのは中村先生が私たちに向けてくださったメッセージです。新しいものや知らないことで溢れている時代に生きている私たちは、まずは積極的にそれらを取り入れ、その後で自身で取捨選択を行うことが大切なのだという内容でした。将棋を指す時のように、たくさんの情報がある中で適切に判断し、自身の意見を確立していく力が、まさに今私たちに求められていることだと強く感じさせられた講演会でした。

記:法律学科三年 吉田真理