「アメリカの社会形成と多文化主義」
アメリカ合衆国は世界各地から移住してきた人々によって形成されました。したがって、歴史や社会形成を調べると多様な民族、宗教、文化が絡まり合っています。この多様な関わりを踏まえつつ、焦点を絞ってアメリカを学びます。
塩野ゼミは「演習が大学における研究活動の中心を占める」という立場に立ちます。したがって、参加する学生には積極的なゼミ参加を求めます。基礎演習・導入演習・専門演習・卒論演習はいずれも担当者の発表とゼミ生の質問を中心に進めます。活発な議論がゼミを盛り上げます。それと、これまでは「おいしく、楽しく、やる時はやる」をモットーとしてみんなで取り組んできたのですが・・・。
1年次 基礎演習・文化コース基礎論(いずれもアメリカ文化コースの科目)
文化のダイナミズム
2年次 導入演習(アメリカ文化コース)・アメリカ太平洋文化史・アメリカ宗教文化論
3年次 専門演習(アメリカ文化コース)・アメリカ思想文化論・アメリカ社会文化論・宗教学
4年次 卒論演習(アメリカ文化コース)・卒業論文
共通科目 共通科目:語学については英語を取っていれば、第2外国語の種類は問わない。
「スターバックスコーヒーはどのようにして再生したか」
「アメリカ人の肥満──貧困社会を生きる人々の健康を考える」
「銃社会アメリカ」
「カレッジスポーツとESPN」
「黒人女性とアメリカフェミニズム──女性参政権運動から見えるもの」
「キング牧師と人種差別問題」
「公民権運動による黒人の社会的地位の変化」
「日系アメリカ人のアイデンティティ形成について」
「移民社会とヒスパニックのアイデンティティ形成の関わりについて」
「アンドリュー・ワイエス作品から考察するアメリカ人のアイデンティティ」
「アメリカンヒーローの役割」
「ジャズの生きたアメリカ」
「アメリカ演劇とリアリズムの関わり」 
大学院修士課程で学んでいた時に指導教授から「塩野君は詩人の心を大切にして下さい」と言われた。恩師のアドバイスから「詩人の心とは何だろう」と考えさせられている。
3歳から5歳にかけてしばしば台所で時に壁に向かい時に襖に向かって泣いている母の後姿を見つめていた。後姿ではあったが揺れている肩と嗚咽を押さえている声から「母が泣いている」と分かった。何も分からない幼児にとって母の涙は世界が揺れる大事件であった。小学生になると何度となく着物姿の写真を見せながら、母から「恥ずかしく思うことがないように撮ったんや」と言われた。しかし、そのように言われる度に「当たり前に生まれていない自分」を斜めに見る思いへと沈み込んでいった。38歳の冬に父は胃癌で亡くなった。亡くなる2日前の夕方、看病で疲れ切っていた母は父の耳元で「お父ちゃんはお母ちゃんが好きか。お父ちゃんはお母ちゃんが好きか」と聞いた。すると何も分からないと思われた父がやせ衰えた両手を伸ばしてしばらく母のほほを撫で「お母ちゃん、大好きや」と言った。それは母が父から聞いた最後の言葉となる。その日の夜、病院からの帰り道で「今日な、変なことがあったんや」と始め、その一切を聞かされた私の心と体は感動に震えた。そして、駆け落ち結婚に始まり40年の後に「お母ちゃん、大好きや」と生涯を閉じた父の最後の言葉と振る舞いから、「父と母の子どもであることを恥ずかしく思うことは何もない」と確信させられていた。それからは「好きが一番」がモットーとなる。
「大切にすべき詩人の心とは何か」について思い巡らす中で蘇ってきたいくつかの出来事があった。それらは幾層にも重なり合いながら私の心を深くから創り出している。それらが詩人の心の中核をなしているのかもしれない。
斎藤 眞
「アメリカとは何か」平凡社
興味深いテーマごとにアメリカに関する理解を深めることができる1冊です。

松尾弌之
「民族から読みとくアメリカ」講談社
多民族国家アメリカを各民族の現実から理解するためにお勧めの1冊です。

大西直樹
「ニューイングランドの宗教と社会」彩流社
アメリカの社会形成を考える上で見逃せない1冊です。

R.ニーバー、柴田史子訳
「アメリカ型キリスト教の社会的起源」ヨルダン社
アメリカ社会とキリスト教の関わりを解き明かす古典の1冊です。