教育内容・教員紹介 カリキュラム

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新司法試験合格者の声

長倉 忍さん

未修者コース  2007年修了

法律知識を実際の法律相談にどう生かすのか、
理論と実務の両面を学び、実践力を養成。
法哲学や法社会学も理解度を高めるのに役立ちました。

長倉 忍さんの写真

 大学時代に法律を学び、司法書士の資格を取得し、卒業後は司法書士事務所に就職しました。さらに社会保険労務士の資格も取得し、独立開業をしました。法律関係の仕事にかかわってきましたが、人に教えることが好きでしたから、事務所を経営するかたわら資格試験予備校で講師の仕事も始めました。法科大学院で学ぼうと思ったのも、そんな考えの延長にあり、法律家を育成する法科大学院教員の仕事に魅力を感じ、ロースクールに入学しました。西南学院大学法科大学院を志望したのは、説明会に参加したときの先生方の熱心さにひかれ、将来は自分もこうした教員になれたらいいなと感じたからです。
 私は既修者コースを希望していたのですが、既修者試験に落ちてしまい、未修者コースとなりました。結果として法律の基礎から学び直すことができ、よかったと思います。1年次は法律の基礎固めのために、教科書や基本書を基にしながら、法律的なものの考え方をはじめ、法律用語の正しい理解を促す授業でした。理解度を深めるために、判例に対して細かく設定された問題を考えさせられることが多く、考えながら覚えていくといった形式です。学生の答えに対して、さらに先生が質問を加えたり、別の学生に意見を求めるなど、多方向双方向的な進め方でしたから、予習をきちんとこなしていなければ、授業についていけません。またレジュメや課題リポートの提出を求められることが多く、文章を書く力を同時に身につけることができました。
 2年次になると、実務を意識した実践的な演習形式による授業が中心になります。長い事実関係の資料や判決文を読み、裁判所がどのような事実を重視し判決を下したのか、当事者双方の主張をどのように受け止めたのかなど、設問にしたがいながら考える勉強です。20人前後のゼミ風の進め方でしたから、各自が答えをしっかり検討し授業に臨まなければなりません。授業では互いの意見をぶつけ合う議論が中心となり、法的な思考力を高めることにつながったと思っています。
 また実務系の科目に「弁護士実務」や「模擬裁判」があります。私は「弁護士実務」を選択履修しましたが、これはロースクールに併設した法律相談所で一般の方からの法律相談に参加する授業で、座学では学べないことを得られた貴重な体験になりました。弁護士教員の管理のもと、相談に立ち会い、その後、相談内容を分析し、法律的な問題点を含んでいるか検討します。相談に来られる方の話は整理されていませんから、その分析作業は大変です。事案の背景にある人間関係が複雑であったり、法律問題を含んでいないような人生相談などもあります。複雑で整理されていない話を法に照らし、問題点を見つけ出す実践的な力を養うのに役立ちました。「模擬裁判」は原告、被告、裁判官に分かれ、準備書面や答弁書から判決文までを手続きにのせて、学べる実践型の科目で、実務を身につけるのに役立ったと友人から聞きました。
 私が特に面白いなと感じた科目に「法哲学」「法制史」「法社会学」等の基礎法学があります。法律とは何か、法律家とは何かといったことを、考える授業です。新司法試験や実務に直接関係なさそうに思える科目かも知れませんが、法律の基礎を固める上で有益な科目でした。
 法科大学院教育の基本理念は、理論と実務の架橋にあります。将来、実務家になるのか研究者になるのか、決めかねていますが、いずれの道を歩むにしても司法修習といった実務の一端を学べる機会を大切にしたいと思っています。実務も分かる研究者教員か、実務に秀でた実務家教員となり、ロースクールの教壇に立てる日に向けて、これからも勉強・研究に打ち込んでいきたいと考えています。
[2007年10月30日]

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