各位

「『となりのトトロ』を読む」 ―小野俊太郎さん特別講義― を開催します。
みなさん、ぜひご参加ください。

日時:8月24日(木)14時開始 17時30分ごろ終了予定
場所:西南学院大学 2号館2階203教室
主催:西南学院大学 マスメディア実践論、 「ことばの力」養成講座
対象:学生、一般市民  入場料無料、事前申し込み不要


誰もが名前くらいは知っていて、もはや「古典」と呼べるこの豊饒な作品を、ただ漫然と
観ているだけでは損です。宮崎アニメの魅力は動きのすばらしさにあるのですが、ここ
ではあえて動きを止めて意味合いを考えます。さまざまな問いを投げかけながら作品を
「読んで」いくと、思わぬ風景がそこに広がっていること がわかります。

今回は『となりのトトロ』の魅力を探るために、3つのポイントに絞ってみました。

まず、郊外への引っ越しで始まるこの物語のあちこちに、見えない境界線がたくさん引
かれていることがわかります。そこに注目すると、登場人物たちの間にも、「よそ者と土
地の者」や「本家と分家」といった立場の違いが浮かび上がって きます。

次に、至る所に見られる「ゴミ」が、この緑の世界が循環型社会などではないことを教え
てくれます。里山として、どこかユートピアに見える松郷なのですが、すでに消費社会が
入り込んでいて、トトロたちのような過去の存在は忘却されつつあります。

最後に、健康を回復するための「病院」と大人になるための訓練をする「学校」が、サツ
キとメイの家から離れた場所に置かれていることで、この世界が幼い思い出のまま守ら
れように見えるのです。その時「塚森」が隣にあることの意味がわかってきます。

こうしたポイントを胸に仕舞ってもう一度『となりのトトロ』を観ると、面白さが倍増するの
ではないかと思っています。幼いころとは違った視点で作品の魅力を感じるようになるこ
とが目標です。

◆講師:小野 俊太郎(おの しゅんたろう)
文芸評論家。1959年北海道札幌市生まれ。東京都立大学卒業。成城大学大学院英文
科博士後期課程単位取得退学。成蹊大学など非常勤講師。映画、ジェンダー論など多
くの著作がある。 現代社会における人文学(ヒューマニティーズ)的想像力の重要性を、
著書などを通じて論考している。

◆テキスト:小野俊太郎『「里山」を宮崎駿で読み直す: 森と人は共生できるのか』(春秋社、2016年)
里山は日本人の「原風景」か、それとも現代人が夢見る「幻風景」か――。
 今、地方創生の鍵語としてももてはやされ、のどかで自然豊かな理想郷として捉えられる里山は、
本当に日本を救済するのか。『となりのトトロ』など、宮崎駿作品をひもとき、里山を、人と自然が交
わる境界として、また文明のゴミが侵入する場、エネルギー消費の場としても捉え直したときに、そ
の本質が見えてくる。自然回帰やノスタルジーにとどまらない里山の現代的意義を問い直す。
人の営みと不可分のゴミやエネルギー問題を抜きに持続可能な社会は語れない。
『となりのトトロ』など宮崎駿作品をひもとき、自然賛歌やノスタルジーにとどまらない里山の現代的
意義を問い直す。里山神話の虚構を暴く。