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入試課 > SEINAN PEOPLE :教授の研究 奈須 祐治 教授

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教授の研究

近年の大きな社会問題である「ヘイトスピーチ」。ヘイトスピーチは「憎悪表現」「差別的表現」とも呼ばれ、特定の人種や民族、宗教などの少数者への差別をあおる言動を指します。この言葉が一般的に用いられるようになったのは1980年代。当時、アメリカの大学内で人種差別事件が多発したことから社会問題として取り上げられるようになりました。
 日本でも2010年頃から在日朝鮮人を攻撃するデモが過激化し、ヘイトスピーチに対する関心が一気に高まりました。それと同時に議論され始めたのが「ヘイトスピーチを法律で規制すべきでは」という問題です。この問題において争点になったのが、憲法で保障されている「表現の自由」との対立です。ヘイトスピーチを規制する法律を作ることで、ヘイトスピーチの標的にされた人は守られるが、ヘイトスピーチをする側の「表現の自由」を侵害しかねないと考えられるのです。
 例えば、「現政権の政策は誤っている」という表現は、政治的な討論を構成するものとして“価値の高い表現”とされ、表現の自由として保障されます。対して、特定の“個人”に向けられた侮辱は“価値の低い表現”とみなされ、表現の自由の保護を受けません。
 これと同じように、ヘイトスピーチも表現の価値で切り分けられると考えられそうですが、ヘイトスピーチの場合、「表現の自由」の領域を明確に線引きすることが難しいのです。例えば「○○人は出て行け」という表現は、特定の民族を傷つける“価値の低い表現”と考えられる一方で、移民政策や外国人参政権などに関する議論にあたり、“価値の高い表現”と性格づけることもできます。過激なヘイトスピーチであっても無価値な表現とは言い切れないのです。
 こうした議論の末、2016年に施行されたのがヘイトスピーチ解消法です。この法律は、不当な差別的言動は許さないと宣言していますが、表現の自由を尊重し、罰則がない「理念法」です。そのため、ヘイトスピーチ自体を取り締まることはできませんが、施行後はデモの数は減少しています。ただし、理念法に過ぎないため、今後有効に機能しなくなる可能性があるのも事実です。
 このことからも分かるように、法律は社会的事実に強く影響され、必要性があって作られます。それと同時に、決して画一的なものではありません。法律を学ぶ上で、その法律ができた過去に遡り、社会的背景や成り立ちを知ることが重要です。そうした学びが法律の意味を深く理解する入り口となるはずです。

法学部 法律学科
奈須 祐治 教授

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